2016年12月31日土曜日

福島県に対し県民健康調査の「甲状腺検査の継続と拡充を求める」要望書を提出

ひだんれんは、12月21日午後、福島県に対し県民健康調査の「甲状腺検査の継続と拡充を求める」要望書を提出しました。

日本財団が9月に福島で行った国際会議での提言を元に、県知事に会い、「甲状腺検査を自主参加とするよう」申し入れていることから、甲状腺検査の継続と拡充を求めたものです。要望書は、代表らが県民健康調査課に手渡しました。

この件では、福島県議会も9月の定例会で、「福島県民健康調査における甲状腺検診で、検査規模の縮小ではなく、検査の維持を求めることについて」の請願を全会一致で採択しています。

 この日は同時間帯に「甲状腺検診の維持・拡充を求める会」「いわきの初期被曝を追及するママの会」「NPO法人はっぴーあいらんど☆ネットワーク」が、県民健康調査課に要望書を手渡しました。


 県民健康調査の目的に沿った調査と検査の継続と拡充を求める要望書



 福島県知事 内堀雅雄様

 県民健康調査課課長 小林弘幸様


 県民健康調査の目的に沿った調査と検査の継続と拡充を求める要望書
                                 
                                   2016年12月21日                                
                                                                                                                                              
                  原発事故被害者団体連絡会
                      共同代表 長谷川健一
                          同  武藤 類子


 貴職の日頃のご尽力に敬意を表します。

                                                                                     
12月10日付の福島民友新聞は、「原発事故当時18歳以下の県民を対象とした甲状腺検査を巡り、日本財団の笹川陽平会長は9日、県庁を訪れ、『検査を自主参加にすべき』とする提言書を内堀雅雄知事に提出した。内堀知事は『大事な提言として受け止める』とし、提言を参考に県民健康調査検討委員会で議論を尽くす考えを示した。」と報じました。

  この提言書は、本年9月26日と27日に日本財団の主催で開かれた第5回福島国際専門家会議の内容を取りまとめたもので、IAEAやUNSCEAR、WHO等国際機関メンバーらが、福島県で多発している甲状腺がんについて、福島原発事故による放射線被ばく由来ではなく「過剰診断」によるものとの指摘がなされています。

  提言書3頁の「将来への提言」では、「1)福島県民健康調査事業、特に甲状腺超音波検査の今後については、地域のステークホルダー(利害関係者)、すなわち直接その決定によって影響を受ける関係者の課題である。甲状腺検診プログラムは、個人と集団全体のリスクと便益、公衆衛生上の人的ならびにその他の資源の需要、他の国々の同様なプログラムなどの分析を考慮した上で決定されなければならない。健康調査と甲状腺検診プログラムは自主参加であるべきである。」とありますが、そもそも甲状腺がんを含む異常が原発事故に起因する放射線被ばくによるものではなく、スクリーニング効果であると決めつけた前提に立つ提言であり、この決めつけは、県民健康調査の検討委員会等で重ねてきた議論を蔑ろにするものです。

  第24回県民健康調査検討委員会では、「二巡目の検査の評価が出るまで検査縮小の議論はすべきではない」「チェルノブイリの例では4、5年から低年層の甲状腺ガンが急増することが観察されているので、実はこれからだ」「この検査は非常に特殊な事態の中で、非常に意味のある調査である」「最初は放射線の影響は考えにくいという報告をしたが、今は懸念がある。放射線の影響を考慮しながら検証していくべき」という意見が出され、星座長も「受診率を上げるというのが一つの目標になっている」と述べています。また、福島の子どもの多くを執刀している福島医科大の鈴木眞一教授は、詳細な手術症例を報告し、125例のうち5例を除く121例が、1センチ以上の腫瘍かまたはリンパ節転移があると説明し、「過剰診断」とはほど遠い治療実態を明らかにしました。また、片葉を摘出した患者の中に、再発しているケースがあることも公の場で初めて認めました。

  8月25日にも、福島県小児科医会は現行の甲状腺検査によって「被験者、家族のみなのらず一般県民にも不安が生じている」とし、同意を得られた人のみの検査とするよう、規模の縮小を求めて福島県に要望書を提出しましたが、それに対して当事者団体である「311甲状腺がん家族の会」や国内外120を超える諸団体からは、検査を縮小せず、むしろ拡充してほしいという要望書が提出されました。

 福島県議会も9月の定例会で、「福島県民健康調査における甲状腺検診で、検査規模の縮小ではなく、検査の維持を求めることについて」の請願を全会一致で採択しました。

  県民健康調査の目的は「東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散や避難等を踏まえ、県民の被ばく線量の評価を行うとともに、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、もって、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図る」と要綱に記されています。

  今回の日本財団の提言はこの検討委員会で確認されたことに逆行する内容と言えます。福島県も「甲状腺検査は、現時点での甲状腺の状況を把握するとともに、子どもたちの健康を長期に見守るために、本人や保護者の皆様に安心していただくため、福島県が県民健康調査の一環として行っているものです。」と謳っています。

  一財団が開催した国際会議の提言にとらわれることなく、福島原発事故で被ばくした被害者の実態に真摯に向き合い、県民健康調査の本来の目的に立ち返って、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、将来にわたる県民の健康の維持、増進を遂行していただけますよう要望いたします。

               

                      要 望 事 項


1.県民健康調査の甲状腺がん検査は縮小せず、広く県民に周知して拡充、継続すること。

 2.県民健康調査では、甲状腺がんに限らず検査項目を増やし、検査のスパンを短くして、県民健康調査の本来の目的に立ち返り、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、将来にわたる県民の健康の維持、増進を遂行すること。