2020年10月9日金曜日

<福島県交渉>第21回 報告

10月7日は、「新型コロナ災害下における原発事故避難者の暮らしと住まいの不安に関するアンケート調査」のまとめと提言を中心に交渉を行いました。


出席者は、福島県側は避難地域復興課1名、生活拠点課2名、避難者支援課1名、国民健康保険課1名、ひだんれん5名、「避難の権利」を求める全国避難者の会1名、避難の協同センターから2名の合計8名でした。

話し合いに先立ち「原発事故避難者の生活保障に向けた緊急提言」を読み上げ、生活拠点課主幹に手渡しました。

※事前質問の回答はコチラ

今回の交渉のポイントは以下の3点です。

1.アンケート結果と提言

①アンケート結果の要点と実態の深刻さ、提言内容の必要性
②実態把握の状況と調査実施の確約取り付け
③医療・介護保険の減免措置の継続・拡大の確保


①、② アンケートから、原発事故避難者の厳しい生活状況にコロナ災害がさらに追い打ちをかけていることが読み取れます。
家賃の支払いが「非常に苦しくなった」「やや苦しくなった」の回答が 29%、そのうちの 85%が民間賃貸に居住する避難者で家賃負担が増しています。
政府は「住宅確保給付金」を12月に終了するとしていますが、そうなれば困窮する世帯が増えることは目に見えています。
そうなる前にアウトリーチをして実態を把握し、困窮者の早期発見と具体的な施策を立ててほしいと要求しましたが、県の避難者支援課からは、個別的な対応をして福祉的な支援につなげていること、生活拠点課から県としての経済的施策が無いことが、今まで同様に伝えられました。
雇止めや就業時間減少などの現実があることを県は認識しているのか、認識しているのであれば、せめて住宅提供が打ち切られた避難指示区域外、指示解除区域、帰還困難区域の30,000世帯は名簿を持っているのだからその世帯に対してのアンケートをしてほしい、支援策をどうするか以前に、このコロナの実態をつかむことが必要だと迫りました。県側はどうする?と顔を見合わせる場面もありましたが、結論は出さないまま回答は後日ということになりました。

③福島県や市町村からの継続の訴えが既に上げられていることは確認していますが、コロナ災害下では特に医療費や介護保険の減免は重要になっているので、継続と拡充が必要だということを、強く求めました。
詳細については担当者が国保の係りでわからないこともあったため、追って追加質問をすることになりました。

2.立ち退き提訴

①提訴対象者の現況把握の有無確認
②県議会議案「訴訟の方針」にある「必要があると認めるときは訴えの取り下げ、訴訟上の和解及び請求の放棄を行うことができる」との条項適用を迫る


避難者がコロナ災害下で追い詰められている状況は、県議会議案の「訴訟の方針」にある「必要があると認めるときは訴えの取り下げ、訴訟上の和解及び請求の放棄を行うことができる」との条項に当たることから、提訴の取り下げまたは凍結を求めましたが、生活拠点課からは、住居に困ることがあれば住居支援をするとの回答でした。
住居支援以前に裁判に頼る形で立ち退きを要求するのではなく、避難者を守る行政努力をするべきです。

3.「2倍家賃」請求

①対象者の現況把握の確認
②コロナ情勢を踏まえた財務省との協議と請求の中止・撤回要求


事前質問の回答によれば、2倍家賃を払っている世帯は31世帯中0世帯です。
払えない状態だということです。
1年半も2倍家賃の請求書が届く心理的な負担を追い続ける状況を県はどう考えるのか、今後どうするつもりなのかと問いかけ、裁判で追い出すなどということをしないよう訴えましたが、福島県の回答は、国と県の関係があり、財務省に毎月損害金を支払っているのは、いずれ入居者から支払いがあることを宛にしているからだと以前からの説明を繰り返すのみでした。

立ち退き提訴と「2倍家賃」請求については時間が足りず、次回に持ち越しとなります。

以上



2020年10月2日金曜日

<報道>黒い雨判決控訴抗議声明に関する一覧

 <メディア>
■共同通信
「黒い雨、控訴撤回を」原発事故被災者ら抗議

■毎日新聞
黒い雨訴訟「控訴取り下げを」 福島原発事故被災者ら、国と広島市に申し入れ

■広島ホームテレビ
「黒い雨控訴に抗議」原発事故被害者と連携 広島

■朝日新聞デジタル
「黒い雨」訴訟、控訴に抗議声明 原発事故原告ら5団体

<新聞記事>
■朝日新聞福島総局
「黒い雨」控訴に抗議声明

■しんぶん赤旗
広島地裁の「黒い雨」判決 国・県・市は控訴やめよ

<雑誌> 
■週刊金曜日
原爆と原発、ヒバクシャ共闘
刑事裁判にも今後影響か

<ブログ>
■伊方原発運転差止広島裁判
「黒い雨」被爆者訴訟控訴した被告広島市・広島県、参加行政庁・厚生労働省に抗議し、控訴取り下げを求める

■明日に向けて(1893)
「黒い雨」裁判は内部被曝の危険性と福島原発事故とのつながりを見事に明らかにした!-控訴に関する抗議声明によせて

■the ATMIC AGE 9月29日
「黒い雨」訴訟判決控訴抗議声明 via ひだんれん



<抗議文提出><記者会見>「黒い雨」裁判判決控訴への抗議声明

「黒い雨」による被爆を認め、原告84名に被爆者手帳を交付するよう命じた7月29日の広島地方裁判所の判決を不服として控訴した国と広島県・広島市に対し、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)、伊方原発広島裁判原告団、「避難の権利」を求める全国避難者の会、原発賠償関西訴訟原告団、福島原発事故被害救済九州訴訟原告団の5団体は9月29日、共同抗議声明を発表し、午前10時に厚生労働省と広島市に提出し、(広島県には10月2日)同日、午後2時から各地をオンラインでつなぎ、福島市にて記者会見を行いました。

<抗議声明> <賛同団体一覧> <解説と背景>

参加行政庁・厚生労働省への抗議声明手渡しの様子

衆議院第二会館での抗議声明手渡しは、福島選出の金子恵美衆議院議員(立憲民主党)の段取りと立ち合いのもと、ひだんれん幹事の村田弘さん、熊本美彌子さん、伊方原発広島裁判原告の上田紘治さん、森川聖詩さんの4名が出席しました。

冒頭金子議員より「控訴は極めて残念。本来国民を守るべき立場にある国が真逆のことをしている。このことは福島の原発事故の問題にも大きな影響を与える」と発言がありました。

熊本さんは「原発事故避難の10年は大変苦しい日々だった。被爆者の皆さんは、もっともっと長い75年も経ってやっと訴えを認める判決が出たのに、国や広島県、市が控訴したことに、何という国かと、怒りをもって抗議する」と、抗議声明を読み上げ、厚生労働省健康局総務課 丸山課長補佐に手渡しました。

伊方原発広島裁判原告の上田さん「3歳の時に爆心地から400メートルのところで被爆した。今回の裁判判決は非常に画期的なことだ。広島と福島が一緒に抗議声明を出したのは、この判決が内部被曝を認めているからだ。厚労省は大義に立って判断してほしい」

被爆2世の森川さん「厚労省が科学的知見というが、核被害者の生の声を聴いて実情を見て、必要とされる対策を講じるべきだ。控訴などという愚かなことはやめてほしい」

ひだんれんの村田さん「放射能の被害は原爆も原発も同じ。内部被曝、政治的な線引きによる被害者の分断、切り捨ても全く同じだ、国は被害の現実に正面から向き合うべき」

と、それぞれ訴えました。

 

 【写真左】抗議文を読み上げる原発事故被害者団体連絡会幹事の熊本美彌子さんと厚生労働省 健康局総務課 丸山課長補佐(他随行1名)立ち会い後ろ4名のうち、左から伊方原発広島裁判原告 森川聖詩さん、同じく広島被曝者の上田紘治さん、原発事故被害者団体連絡会幹事幹事の村田弘さん、一番右が、金子恵美衆議院議員(立憲民主党)。
【写真右】抗議声明の説明などをしている様子


被告・広島市への抗議声明手渡しの様子
(伊方原発広島裁判のホームページより)

広島市へ抗議文手渡しは、10:00から広島市役所議会棟1階会議にて行われた。

段取りは、申入時同様、広島市議の馬庭恭子さん(市政改革ネットワーク)が行っていただき、馬庭さんと、中森辰一さん(日本共産党)が立ち会いに臨んだ。

広島市は申入時同様、健康福祉局原爆被害対策部援護課の課長 山本雅英さんが対応。
なお今回「早く黒い雨被爆者を救済するため」という発言はなかった。

 

【写真左】左から、中森辰一議員、原告団長 堀江 壯、馬庭恭子議員。右が健康福祉局原爆被害対策部援護課の課長 山本雅英さん。
【写真右】原告団から6名が立ち会いに臨み、報道関係者も取材に訪れた。
なお広島県には10月2日13時30分に抗議声明を手渡すことにしている。

福島市での記者会見の様子

福島市のアオウゼ多目的ホールで午後2時から3時まで、オンラインで広島、新潟、福岡をつないで記者会見を行いました。

福島からの発言は、ひだんれん事務局長大河原さきさん、ひだんれん幹事の村田弘さん、今野寿美雄さん、原発賠償関西訴訟の森松明希子さん、オンラインで広島から伊方原発広島裁判事務局の哲野イサクさん、新潟から「避難の権利」を求める全国避難者の会役員の大賀あや子さん、福島原発事故被害救済九州訴訟原告団事務局長の内藤哲さんが参加しました。

黒い雨判決と福島原発事故被害に共通しているのは、政治的な区域の線引きによる分断と差別、内部被曝による健康被害、また原爆も原発も国策による核の被ばくの問題である。これらを明らかにして被害者の人権を勝ち取っていくために、連携して闘っていくことが報告されました。

福島市の記者会見には、朝日新聞福島総局、共同通信福島支局、毎日新聞は東京から統合デジタル取材センターのみでした。いつも参加の地元紙や地元テレビ局の取材はありませんでした。





<福島県交渉>第29回県交渉質問事項及び回答

ひだんれんと、避難の権利を求める全国避難者の会、避難の協同センターの3団体は、29回目となる福島県交渉を行いました。 開催日時:2023年8月15日(火) 14時~15時 開催場所:オンライン 参加者: <福島県> ・原子力安全対策課:水口昌郁 主幹兼副課長 ・原子力安全対策...