2018年7月23日月曜日

第12回(2018年度第2回)県交渉 報告 

 2018年7月10日10:30~12:00
福島市自治会館4階労働委員会室

<出席者>
◆福島県
避難者支援課 主幹兼副課長
生活活拠点課 主幹兼副課長 
 〃       主幹 
避難地域復興課 統括主幹 
 〃      主幹  
放射線監視室   室長 

◆原発事故被害者団体、支援団体

第12回県交渉質問と回答(質問5を除く)はこちらをクリック

セーフティネット契約(質問第5)に関する質問と回答はこちらをクリック

 
冒頭発言

佐藤三男:原則的な立場を確認してから始めたい。①原発事故は終わっていない。

②原発被害も終わっていない。避難指示区域内外を問わず、福島県や国の施策によって、状況はますます厳しさを増している。

③国も東電も加害者であるが、福島県もまた原発を誘致した段階から、事故に対する責任は免れない。今までの被害者施策についても責任を感じ、被害者の立場に立ってやってほしい。内堀知事も沖縄の翁長知事のように、国に対峙してやってほしい。

④刑事裁判、東電の責任を求める裁判、集団賠償裁判が進行し、判決も出ている。国と東電の責任を認め、施策がまずかったことも認めている。それらを踏まえて被害者の立場に立った回答をお願いしたい。

今回質問に対する回答の確認と整理

村田:イエスかノーで端的に答えてほしい。

Q:1.知事の基本認識(1)自立の目途は立ったかについて、「避難者の状況は様々で個別化、複雑化しており」としているのは、まだ目途は立っていないということか?

A(生活拠点課):目途は立っていない。

Q:(2)課題への対応策、回答「2930年度の2年間の経過措置として実施した」とあるのは2年間で終わりという意味か?

A:イエスかノーでというなら、終わりだ。

Q:(3)の知事との対話の場については毎回頼んでいるが同じ回答だ。拒否の回答か?

A:個別の回答に関わってくるが、・・(語尾不明)

Q:個別の問題ではなくて、おおもとの政策決定する知事と話し合う場が欲しいと言っているが、何故答えないのか。

A:そういう機会については別に場を設けてある。

Q:これは取り下げるつもりはない。引き続き上げておく。


Q:2.来年度の支援策(1) ② 来年度支援策が、今年度通り継続するのかと聞いているのに、「来年度について現時点での答えは困難」としている。

A:来年度の予算編成が完全に決まるのは、県議会が終わってからなので今年度末になる。


Q:(2の)受け入れ自治体に対する支援要請について、避難者にとっては大切なことだ。回答は「27年から毎年要請してきた」という漠然としたものだ。今年度はいつ依頼するのか。

A:時期的なものも含めてまだ決まっていない。

Q:区域外避難者の実態把握についてはやる気があるのか。

A:個別の対応の中で把握する。

Q:4.9省庁会議について、今日、アンケートの結果発表があるとのことなので、発表後回答を頂きたい。


現行支援策の継続を求める各地域からの発言

鴨下:来年度は民賃補助は終了するとのことだが、加害あっての被害、避難住宅の無償提供を打ち切り、支援も縮小したために問題が複雑化している。避難の継続を希望する人が継続できるようにもともとの状態に戻すべき。

先日、福島県と東京都の職員がアポもなしに訪問して来て「困りごとはないか」と聞く。今まで11回の福島県との交渉の積み重ねも何も知らない人が来ている。個別の事情には寄り添っていない。
戸別訪問自体が追い出しの意味もあるのでやめてほしい。

熊本:東京に避難しているが、調停が始まった人がいる。調停というのは調停案を出すのが目的だと思うが、裁判なので緊張して対応している。その人たちが望んでいるのは都営住宅に入りたいということだ。皆さん一生懸命働いているが、収入が低くて民間の住宅には入れない。
東京都が避難者向け住宅の募集をかけたが、世帯要件が厳しく応募すらできなかった。民賃の家賃補助も受けられず、国家公務員住宅も出ていかなければならないが受け皿が全く用意されていない。
来年以降、区域内避難者への住宅提供が無くなると、賠償があるからいいじゃないかと言われるが、賃貸住宅に住んでいた人は住居の賠償がなかったし、一人暮らしの人は身体を壊したりしたら生活が成り立たなくなる。そのためにも対策を立てねばならない。それが見えないことが不安の要因となっている。


山田:区域外避難者の住宅無償提供が打ち切られた時、神奈川からも多くの自治体が県と国に打ち切らないよう意見書を出した。打ち切られた後、区域外避難者がどうなっているのか、当事者である私たちも掴めていない。福島県は打ち切った責任として調査をして実態を掴んでほしい。


武田:実態調査は欠かせない。全国に散らばった避難者の実態に基づいた施策を立てるべきだ。3月で民賃補助を打ち切られると、生活が成り立たなくなる人がいる。山形県は2回目の実態調査をし、その結果が出た。他県でやれるのに、なぜ福島県はやらないのか。実態がわかれば施策を立てなければならなくなるのを恐れているのかと、勘繰りたくなる。


阿部:京都府としては福島県からの要請がなければ、来年3月で住宅の提供を打ち切ると断言している。京都に住む自主避難者は追いつめられている。帰還すればよいというかもしれないが、放射線に対する不安だけでなく、仕事のことや子どもの学校のことなどがある。京都では避難者に対する精神的なサポートもあった中で自立しようとする人は多いが、慣れない土地での生活は厳しいものがあり、簡単にはいかない。
福島県に見捨てられるのではないかという、精神的に窮迫した状態にあることを理解して、避難者に寄り添った対応をしてほしい。


瀬戸 避難の協同センター:福島県議会6月定例会企画環境委員会で宮本議員が、国家公務員住宅で契約していない人数を質問したところ、生活拠点課課長が住宅供与打ち切りに反対している人○○人と答えているが、そういった断定は間違っている。契約書を郵送して締結しろと言われたら追い込まれる。

区域外避難者6000世帯中、2000世帯の民間賃貸住宅の家賃補助をしているが、その2000世帯に対しては対象が掴めているので調査できるはずだ。生活拠点課や避難者支援課は、部局として実態把握をしたうえで、支援の必要性の判断を県議会に提示するべき。その上で残りの4000世帯をどうするか、今、具体的に立ててほしい。


生活拠点課:この場では答えられない。文書で回答。


国家公務員住宅の継続入居を求める

熊本:国が国有財産の使用許可を福島県知事に与えているが、その中で使用期限に関しては「延長の希望があるときは福島県知事から財務省に要望、申請するように」という条文がある。
今回、国家公務員宿舎セーフティネット使用貸付に関する要綱についての開示を要請したのは、この要綱の中にも第5条の2の貸付期間において「延長を希望する時は、2か月前に申請する」となっている。

Q:生活拠点課の要綱が平成29221日から施行となっているが、これについてその後変更はあったのか?

A生活拠点課:変更はしていない。

Q:変更はないとすれば、要綱第5条の2に、2か月前までに申請しなければならないとあるが、当事者に来ている契約書には、貸付期限は来年の331日までとなっている。期限を過ぎても退去しない場合は、使用料の2倍の請求があると書いてある。
あと数か月しか退去までに時間がない中で、3月末までの契約書にサインをしてしまったら、3月までで出なければならないのかと、非常に不安になっている。

要綱通り期限の延長が認められているものがほしい。

A:平成30年の契約書を送った際に(以下、聞き取れず)

Q:契約書と共に様式4号(使用貸付期間延長申請書)も入ってなければならないが、それは入っていない。

A:様式4号に関しては確認してからにしたい。

Q:生活拠点課の要綱は平成29年度のでよいということでよいか。

A:よいかどうか確認する

Q:延長する場合は2か月前に申請するということを説明して契約するなら良いが、説明しないで契約するのはフェアじゃない。説明しているのか。

A:第5条の第1項に「平成313月まで継続可能」とある。

Q:そうはあっても、2項では「延長を希望する時は2か月前までに申請する」と書いてあるのだから、申請すれば受け付けるということではないのか。


県当局と現場の対応の違いが表面化している

瀬戸:国家公務員住宅に入居している人からの情報では、福島県と東京都の戸別訪問の中で、避難者が家賃を払えば来年以降も入居を継続できると言って回っている職員がいるとのことだが、来年3月以降も居られるように現場への指示が出ているのではないか。

国家公務員住宅から移動できない人は居ざるを得ないとも言われている。そうであるならば戸別訪問で回るのではなく、最初から1年延長すればよいのではないか。こういう情報が避難者から出てくること自体がおかしくないか。

村田:追い出すことはしないと約束はできるか。

生活拠点課:個別の事情を今は探っている。

Q:事情があれば打ち切りはしないと約束してほしい。

熊本:しかしその時に2倍の使用料を請求されたら払いきれない。今5万円の賃料の人は10万円になってしまう。個別の対応ではなく正式な形で延長を認めてほしい。

佐藤(三):県と東京都の職員が訪問しているとのことだが、現地で雇ったパートなどはいないのか。

生活拠点課:訪問の形態が、復興支援によるものと、県の支援終了に関するものとがあるので、それぞれによって訪問している職員は違う。

Q:どのような形態とパターンで訪問しているのか、また、どのような内容で話をしているのかを明示してほしい。

Q:行政として入居の延長を提案してほしい。


説明会の要請

武田:県の今後の避難者に対する考え方を、説明会を各地で設定してやってほしい。

   ―しばらく間あり。

Q:ここで判断できる人は居ないのか。総合的に話を聴いて判断するのは知事の役割ではないか。

生活拠点課:この場では回答できないので、持ち帰る。どういう内容の説明会なのか。

武田:区域外避難者の住宅供与を打ち切るまでの経緯と、その後の民賃補助、そして今年度でそれも打ち切るということを説明して、避難者から意見を聴く。

瀬戸:国家公務員住宅の説明会ならすぐできる。今までもやっているし、福島県が来て説明会を開くということなら避難者は集まる。そこで避難者の声を聞いてほしい。生活拠点課と実務的に詰めていける。関東近隣は協力して集めることができる。

A:セーフティネット契約に限定して、支援団体が入っている中で説明をするのはいいと思う。

Q:決定次第知らせてほしい。

国家公務員住宅の値上げの問題

村田:値上げの問題は今年度4月に入ってから提示があった。値上げに関する回答では、最低300円から最高8000円ぐらいで、高い人は年間にしたら10万円ほどの負担増になる。国家公務員住宅は県が国から借りて、値上げに関してそのまま入居者に流している。そこでの県の判断がない。この値上げ分に関して福島県が家賃補助とするという形にはできないのか。

生活拠点課:国家公務員との同等の家賃としている。

Q:それは国に対して払う家賃は国家公務員並みということでしょう。それを避難者にそのまま払わせていいのか。ここをどうするかが県の判断があってしかるべき。家賃増は平均すると1軒当たり3千円で、100世帯強としても県としては年間数百万円の負担増となるだけだが、避難者にとっては大きな助けとなる。考えてほしい。

A:値上げ自体は国の値上げに連動している。国家公務員宿舎自体が近郊の1/2~1/3と家賃が安いため、県としても(聞き取れず)

武田:国家公務員と避難者を同じ条件と見ることがおかしい。雇用促進住宅は最近入居者を募集したが、避難者の家賃よりは高く設定されている。避難者の家賃は10年間据え置きとなっている。避難者と一般の入居者は別枠としている。国家公務員住宅もこのように考えればよい。

熊本:国家公務員住宅の値上げ問題は平成24年から計画されていた。昨年12月には県は知っていたはず。避難者が心配して県に問いあわせをしたら、「それほど上がらない」と言われたが、今年度4月に急に値上げになった。

また、東久留米では300円ほど余分に取りすぎていたから返したいと、福島県から言ってきたとのことだがそれは何か。

生活拠点課:12月までに値上げの金額がわからなかった。
      東久留米の300円は国が間違っていたと言ってきた。

佐藤三男:県の姿勢として被害は終わったと認識しているのか。行政の職員として中核に居る皆さんが被害者の立場に立って、同じ県民として何か良い方法はないのかと、知恵を出してもらえないのか。

村田:昨年、福島大学の行政政策学類3年の塩谷ゼミの学生たちが「住宅支援打ち切りと自主避難者の現状―打ち切り理由と政策決定プロセスを問い直すー」という論文を書いた。福島県の地元に居る若い人たちが克明に調査したうえで書いている報告だが、肝心な疑問を突き付けているのは「福島県が2012年に2020年には避難者を0にすると目標を立てた。それは国の目標と基本的に一致する。その線に沿ってすべて進めていることに矛盾がある」と学生たちも認めている。

初めは計画を立てるのはわかる。しかし、それに実態が追い付いているのかを踏まえた上で、大本の考え方を再検討することをやってほしい。それは知事を中心にやってほしいし、そこに避難者の声を反映してほしい。このまま進めてはお互いに傷を残す。今が最後のチャンスだと思うので、若い人たちの論文を読んで、それを知事に伝えてほしい。


モニタリングポスト撤去に関して県の姿勢を問う

大河原:モニタリングポスト撤去に対し、県内12市町村議会から撤去の中止を求める意見書も出ている。県として反対の姿勢を明確にしてほしい。

放射線監視室長:すべてを撤去するなということは県としては言えない。放射能汚染は不均一で、会津など震災前に戻りつつあるところはそれを知らしめたいという声もあるので、県としては両方の声を聞かなければならない。議会の意見書を住民の声とするのであれば、住民の意思を最大限尊重したうえで、細かなルールを作っていく。

Q:撤去の判断基準はあるのか。

A:放射線が低減化したところで常時リアルタイム表示の必要はないだろう。だから整理しようとするのが規制委員会の提案。住民説明会での話を聞いて、細やかなルール作りをしていく。

Q:県が前提として全部残しておくことはできないという立場にいるのはなぜか。

A:今回整理するのはリアルタイム線量計であり、可搬型の600基は残る。

Q:密度の問題でこの広い県内に600基では少なすぎる。

A:県の立場はお金でも、期限でもない。

Q:廃炉作業が本格化しトラブルが起きている。建屋に穴をあけて線量が20倍になった。廃炉は新たな被曝の始まり。収束していくのではなく新たな危険な段階に来ている。県の見方は甘い。県民の健康、生命を重要にしてほしい。

A:県の環境モニタリングの指針を出した。県として発電所周辺のモニタリングの強化をした。

Q:居住しているそばにモニタリングポストがあることが重要だ。

Q:東京電力は正しい情報を出してきていない。これから正しい情報をだすのか。


閉会のあいさつ

武藤共同代表:短い時間だったがお互いに話をする中で、説明会の方向も見つかるなど、このような話し合いは重要だ。
一つの施策を実施していく場合に、どの立場に立つかで方向性が変わってくるので、行政のみなさんは県民の立場、被害者の立場に立ってほしい。皆さんも同じ立場で一生懸命頑張っていただいていると思う。しかし、立場が違ってくると県民のためにならないということも、頭に入れておいてほしい。
今回は1時間のところを30分延長して行ったが、それでも時間が足りないので、次は2時間はとってほしい。

<福島県交渉>第31回県交渉質問事項及び回答

ひだんれんと、避難の権利を求める全国避難者の会、避難の協同センターの3団体は、31回目となる福島県交渉を行いました。  日時:2024年7月11日(木)14:00~15:30 開催場所:オンライン 参加者: <福島県> ・原子力安全対策課:主幹 市下貴之 ・原子力安全対策課:主幹...