2018年5月22日火曜日

第11回(2018年度第1回)福島県交渉報告


516()2018年度としては第1回(通算第11回)の福島県交渉を行いました。

福島県は2017331日に区域外避難者の住宅無償提供の打ち切りを強行してから、2017年度は、交渉を要求しても時間の短縮や参加人数の縮小、開催日の引延しなどがあり、7月、10月、12月の3回しか交渉に応じませんでした。

今回も時間は1時間と制限があり、公開開催の要求にも応じなかったため、文書と口頭で交渉の公開の要望をしてから開始しました。

質問は多岐に渡っており1時間ではとても足りず、事前に出しておいた質問への回答は判で押したような以前と変わらない回答だったため確認したいことが沢山ありましたが、協議を深めることができませんでした。

福島県は今年度いっぱいで民間賃貸住宅の家賃補助も打ち切ろうとしており、避難者の状況がますます深刻化する中で、福島県がこのまま避難者を切り捨てることのないよう、避難者の生活再建の具体的な施策を求めて福島県との交渉を続けて行きます。

 
 

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第11回福島県交渉議事録はこちらをクリック


 
 
11回福島県交渉議事録>         

2018516日(水)10:30~11:45 自治会館 労働委員会室

     
<福島県>

避難者支援課 武藤 主幹兼副課長 

 生活拠点課   菅野 主幹兼副課長 

  〃      小林 主幹 

  〃      久保田主幹  

 原子力損害対策課 渡部主幹兼副課長  

 原子力安全対策課 三浦主幹  

 放射線監視室     酒井 室長 

<ひだんれん> 幹事5名 事務局1名

 <オブザーバー> 避難の協同センター1名 県議2名 県議事務局1名

 
始めにモニタリングポストの継続配置を求める要請書の読み上げと手渡し。

次に交渉の公開を文書と口頭で以下の2点を要請した。

・来年度は避難者にとって大きな節目を迎える。被害者全体、県民が県行政との話合いなので、原則公開であり、非公開はありえない。

・昨年度から回数も時間も減っていて1時間に短縮された。これでは質問の積み残しが出てしまう。2時間程度は確保してほしい。
 
 

Q:ひだんれん

A:県

 1.モニタリングポスト撤去に関する質問

Q:県はモニタリングポスト(以下MP)に関しては撤去を前提として考えているのか。

A:放射線監視室長 撤去が前提ではない。学校の除染土壌も搬出されないような地区にあるMPは、住民が残してくれと言ったらそこには行って説明してほしいと意見をしている。そういう意味で県民に寄り添い市町村の意向に配慮した形で、話し合いによって合意を形成したうえでやってくれと言っている。

Q:原子力規制委員会の当初の説明では、避難指示区域以外の地区のMPを撤去して避難指示区域や解除区域に設置すると説明していたが、416日に「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」が原子力規制庁との話合いをした中では、そのような計画は初めからなかったとの答えだった。県はそのことを把握していたか。

A:H28年2月の時点で当時の田中俊一委員長からMPの見直しが出てきた。事故から5年が経ち会津や県南は放射線量が低減したので、その地域の測定は止めて住民が帰還する地域を手厚くやるなどの報告があった。その地域に持って行くということが、突然この3月に出たわけではない。

Q:会津から撤去された39台が未だに保管されたままであり、規制庁に情報開示したところでも、移設の計画はないとの回答だった。しかし規制委員会の320日に発表された資料の中には、避難指示または解除地域以外の地域から、避難指示または解除地域へ移設することを示す図がある。これは県や県民を騙すことになるのではないか。

A:具体的にはいつまでに何台動かすかなどの青写真は決まっていない。しかし皆さんに提示しないことには前に進まない。

Q:416日に規制庁の放射線防護グループ監視情報課担当課長は、現在あるMPは性能も低いし老朽化も進んでいるので使えないと言っていた。計画もないし使うつもりもないということがはっきりしているので、そのことは県も把握しておいてほしい。

A:使い物にならないものを持って行っても話にならない。移設しても数値が担保できるものを持って行く。今はメンテナンスもしてきちんとした形で使用している。

Q:撤去予定の2400基は文部科学省の管轄のものだということは把握していたか。MPが設置されたのは子どものいる環境を守るために放射線量を可視化するためだった。ある保育園の園長さんは地震があるたびにMPを見に行っているとのことだ。現在のMPを撤去するのであれば、それに代わるものを設置する計画はあるのか。

A:MPは文科省の意図として子どもが多く居る施設に優先的に配置された。当初は文科省の管轄だったが、規制庁ができてからは事務の移管が行われて現在はすべてのMPの切り盛りをしている。所管は移されていて機械もデータも規制庁が管理している。

また、当初は子どものために設置されたものではあるが、何かあった時に見てすぐわかるものとして現在は地域の人達になじんだものになっているので、それを踏まえて撤去できるのかどうかを市町村、住民の意見を丁寧に聞いてほしいと意見書を書いている。

Q:規制委員会は自治体に説明会をするといっているが、その日程の調整などは県や各自治体に入っているか。

A:当初はすぐにでも説明会をするというようにお知らせをしていたが、実際的な段取りを考えてみても、七方部(県北、県中、県南、相双、いわき、会津、南会津)でちゃちゃっとやっただけで収まるかというとそのような訳にはいかないと思うし、規制委員長からも丁寧に進めるようにとの号令がかかっている。年度明けすぐに説明会と考えていたが、国からも市町村に照会が行っていて丁寧な段取りでやるように進めている。時期は未定だが、できる市町村から暫時開催する運びになると思う。

みなさんの納得のいく形でMPの整理を進めていかないといけないと思う。

Q:現時点で説明会の日程が決まっている市町村はないということでよいか。

A:今は段取りを決めているところだと思う。

Q:県の姿勢もわかり、撤去ありきではないということもわかった。説明会では市民の意見を吸い上げて、県民の側に立っての対応をお願いしたい。

 2.知事との話合いについて

Q:知事との対話の場を毎回お願いしているが叶っていない。今年度から来年度に移るために被害者、避難者は多くの問題を抱えている。避難者は非常に追いつめられている。行政の職員とは話し合いを続けてきたが、この局面を乗り切るには知事との対話が必要だ。

知事との対話の場を設定してほしい。できないのであれば何が障害となって対話の場が開かれないのか。次回までに明らかにしてほしい。

 3.今年度の支援策について

Q:回答の中の、ふるさとふくしま帰還・生活再建支援事業(724,086千円)の中に、県独自の支援策の一年目上限3万円、2年目2万円の民間賃貸住宅の家賃補助は含まれているのか。

A:生活拠点課 主幹兼副課長 含まれている。

Q:この家賃補助を受けている世帯は2000世帯と聞いているが、その後増えているのか。

A:同じ2000世帯である。

Q:今年度は上限20000円として計算すると、2000世帯×1年間28万円で約5億円ということ。そして、災害救助法の適用延長対象の世帯数・人数及び、仮設・借り上げ住宅提供にかかる予算額は、12,520世帯、25,5671076100万円。また東電から57億円の寄付の根拠になっている世帯数は?

A:7300世帯。避難指示が続いている地域で応急仮設住宅の入居者が一律1年間の延長になったが、同じ地域で東電の住宅賠償が切れてしまった世帯が1年間の空白期間があるので、その格差を埋めるために県がこういう形で支援することになった。

Q:県が東電の賠償打ち切りを認めた上でこの支援を始めたのか、それとも賠償とは切り離してこの支援を始めたのか、そこをはっきりしてほしい。

A:原子力損害対策課 主幹兼副課長 3月で東電の賠償打ち切りの話はあったが、賠償の有無に関わらず県としては支援の対応をする。

Q:東電からこの寄付については期間や使途などの条件は付いているのか。

A:生活拠点課主幹兼副課長 条件は特にない。今年度1年間の支援事業予算としての57億円。県議会での予算設定は1年間。知事からも避難市町村からも国に要望して国から東電に進言して、結果的に寄付という形となり事業化できた。支援内容は家賃と更新手数料。

Q:支給要項は決まっているのか?

A:416日付で交付している。対象となるのは家賃と更新手数料。3か月ごとに負担して実績を申請して支払する。県のホームページで家賃支援で検索すると出てくる。

Q:同じ避難者でこの57億円の家賃補助事業と、区域外避難者への家賃補助の5億円と比較すると非常にアンバランスだ。この差をどう考えるのか?県の見解は。

A:生活拠点課主幹兼副課長 避難指示が続いている地域で応急仮設住宅の入居者が一律1年間の延長になったが、同じ地域で東電の住宅賠償が切れてしまった世帯が1年間の空白期間があるので、その格差を埋めるための支援が57億円となった。

A:生活拠点課主幹 区域外避難者には自主再建に向けて2年間、3万円と2万円の家賃補助制度としてスタートした。

Q:家賃補助がスタートした時点のことも、制度が増えているということもわかっている。しかし、ここに来て応急仮設住宅の延長に伴って、賠償が打ち切りになった世帯への家賃補助制度に57億円の予算が組まれる新しい事態が起きている。5億円と57億円ではべらぼうな違いがある。ここをどのように説明するのか。

A:(同じ説明の繰り返し)

Q:同じ話なので話を先に進めたい。14日に新潟県で避難の協同センターと子ども被災者支援法議連とで新潟への避難者からの実情を聴いた。私たちは昨年度は何度も福島県に実態調査をするように求めてきたが、未だに実施されていない。去年の3月で区域外避難者の住宅提供が打ち切りになったが、そのことがどのような結果を引き起こしているか検証してほしいとずっと言ってきた。

新潟県で避難者の心のケアを去年まで担当した精神保健福祉協会の田村さんから、避難者の調査からの分析が報告された。通常であれば全体の4、5%ほどの人が重度精神障害状態であるが、宮城の仮設住宅での調査では8%であった。原発事故避難者は24%もの人たちが非常に苦しい精神状態に置かれているのがわかった。具体的にはどのようなことかというと、家賃が78000円で今やっと払っているが来年2万円が打ち切られたら払えなくなる。夫は心臓病があるため就労できない。別の例では、夫も新潟に避難したが収入が3分の1になってしまったが、家賃は東京並みに高いという話もあった。来年4月以降家賃補助が打ち切りになったら、皆さん非常に困る。収入に対する家賃の割合がどうなっているのかなどの実態調査をやるべきだ。施策だけが先に進んで避難者が不満と不安を抱えて生活をしていくことになる。今まで決めたことだからと打ち切るのではなくこれから先のことを考えてほしい。

Q:私も新潟に行ったが、現場の担当者は福島県は避難者に冷たすぎると怒っていた。今      年度で住宅支援が打ち切られたら今後生活が成り立たないというのは、新潟に限らず全国どこでもそうだ。

東電の寄付で57億円を家賃支援に使うのは良いが、そうであれば区域外避難者にも1015億出してもらって、あと1年で打ち切るのではなく延長する。それをしないと福島県民が追いつめられてとんでもないことになってしまう。実態を調査してそれに見合った施策をしてほしい。

Q:避難者支援課に聞きたいが、実態調査を検討すると言っていたがどうなったのか。やるのかやらないのか。

A:避難者支援課主幹兼副課長 現時点では個別の支援をしていこうということ。

Q:各地の相談支援拠点で個別の支援をしていると言っているが、相談が何件あって何件は成功したとかそういう検証はしてるのか。

A:生の情報はあり把握している。住宅とか就労とかはそこで完結しない。全部を一律に仕組みとしてということではないが、何かあればということで、ケースバイケース。

Q:個別に寄り添った対応をするといいながら一律の対応をしている事例を聞いているが、そういうことを把握しているのか。決まりだからできないという対応をしていることがとても多い。

2年間の家賃補助で自立しろと言った。しかし2年間でできない人もいる。当初の目論みと現実は違う。その違いを調査して検証しなければならない。

収入に対する家賃の割合が40%以上の世帯が多い。危険水域だ。そのような生活で自立ができるのか。そのことを検証してほしい、早急に。

Q:今までも何回もお願いしている。全体の状況をつかまえる気があるのかどうか。

A:個別支援する中で、住宅や就労の支援をしていく。

Q:当の福島県が何故全体を捉えようとしないのか。

Q:対応策を検討して教えてほしい。新潟県では子どもが18歳になるまでは支援してほしいという声があった。

Q:実態調査については、やろうとすればできるということを前回言っていた。なぜやらないのか、やるのかやらないのかを説明してほしい。

Q:行政の責任として打ち切ってからの去年1年の支援のデータを出すべきだ。

Q:県によって避難者支援の力のない所や支援の傾向や住宅の状況などが違う。そうした時にそのことができるのは、福島県か復興庁しかない。民間支援団体が取りこぼしてしまう県が沢山ある。

Q:福島県の駐在員の報告を整理すれば実態がわかるのではないか。それをやってほしい。

Q:今回さまざまな要望や他県の事例などが出ている、そのことだけでも検討して結果を報告してほしい。

Q:避難者住宅確保・移転サポート事業とは?

A:住宅を見つけられない人へのサポート。県内では委託した事業者が避難者のところまで出向いて相談に乗った。今年度は県外でも委託契約を結んで訪問して相談に乗る計画。新潟、東京、神奈川、千葉、埼玉で予定している。山形は既にやっている。国土交通省では住宅要支援者の施策を打っているので、避難者の多い所では委託を出す。

Q:全国26カ所の支援拠点からも年間2000件ほどのデータが上がってきているというところで止まっているので、駐在員の報告なども含めて、個別に情報を集めているもの分析をして、経済的な困窮とかその原因を調べるなどどんな問題があるか、実態調査とは別にやってほしい。

Q:民賃住宅の支払いが続かないので、借金して中古住宅を買う人もいる。そのことを把握しているか。

 4.国家公務員住宅について

Q:419日の国との交渉において、福島県は来年の3月で契約の延長はしないと言っているが、財務省はそうは言っていない。福島県の延長の申し入れがあれば延長すると言っている。福島県から延長は申し込んだのか?

A:申し込んでいない。

Q:入居者に来年以降どうするのか聞いたのか?

A:戸別訪問をすると強制的な印象になるのでストップしている。

Q:来年いっぱいで退去してくださいと言って契約書を持って行けば強制になる。

Q:当初160世帯が契約と言っていたが、今は120世帯ぐらいか?来年以降の意向を確かめることはできるのでは。

Q:419日の国との交渉に来ていた避難者が、来年の4月以降どうなるかわからない、居場所がなくなると不安に思っている話を聞いたのに、どうして延長を申し入れないのか?

A:それぞれの人の事情があるので、それを戸別訪問で聞こうとしている。

Q:聞いても公営住宅の空き物件がない。また子どもの学区の問題もあり公営住宅に申し込んでくださいと言われてもできない場合もある。みんな国家公務員住宅にずっと居たいなどとは言っていない。しかし遠くに移転できない事情もある。収入が少ない世帯が多い。子どもが大きくなるまではと言っている。

Q:入居者に値上げの通告をしているが、それは財務省が言ってきたことをそのまま降ろしているのか。

A:そのとおりだ。

Q:避難者が困窮している実態がある。困っている県民を見捨てないでほしい。差し迫った問題ばかりなので6月にはまた話し合いを持ってほしい。

Q:来年度以降の支援策を話し合う時間がなかったので、来年度予算案の審議が始まる前に話し合いを持ってほしい。
                                         

<福島県交渉>第31回県交渉質問事項及び回答

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