2017年10月27日金曜日

県民健康調査課との話合い報告 

 7月28日の第8回県交渉のために、事前に県民健康調査課に送った質問に関して、回答も出席も得られなかったため、県議会議員の古市三久議員(民進党)に仲介を依頼し、10月5日(木)11:00~12:00 県庁舎内にて話し合いの場が設けられました。

話し合いの中で目立った点としては、県としての回答はせず、次回の県民健康調査検討委員会の議論を待つというものが多かったこと、また、「経過観察」の把握がされてなかったことについては、県立医大の健康調査部門と、臨床部門は別で、手術症例は個人情報に当たり集計外だったため、県立医大は適切に対応している。県として把握していなかったことを追及する考えはないと、今回の県立医大の対応を評価していること、県が縮小の方向に傾いていないかとの問いには、県として県民健康調査の縮小を発表したことはない。継続する考えだと明言しました。


<出席者>
古市県会議員
県民健康調査課: 鈴木陽一課長 本田副課長 福島主任主査
ひだんれん:6名 原発訴訟全国連:1名 甲状腺検診の維持・拡充を求める会:1名

(1)ひだんれんは5月9日、「経過観察中に甲状腺がんと診断された患者について、健康調査検討委員会に報告し、公表するよう県立医大に指示してほしい」旨の要請をしたが、その結果を教えていただきたい。
(Qはひだんれん等の質問と発言、 議員は古市議員、→は県の回答)

→県から県立医大に指示なり要求なりしたのか、しなかったのか、県としてこの件をどのようにとらえているのか、などいくつかの質問全てに対し、次回の検討委員会で議論するので、現段階では答えられないというものでした。
次回の検討委員会の日程についてすらも、同様に答えられないとの回答で、県が主体的に動いているとは思えない内容でした。

<その他の質問、意見>

Q:「経過観察中に甲状腺がんと診断された患者」を枠外として数えなかった件について、県としてはどう考えているのか?
→検討委員会で枠外も調べるべきとなれば、県として県立医大に話をする。その辺りは次回検討委員会で論議してから。

Q: 検討委員会に対しては、県がリーダーシップを取る立場ではないのか?
→県民健康調査課には医学的知識がないので、検討委員会の専門家の助言で施策を進める。事務局である当課が先んじて進めることはできない。

Q: 専門知識の問題とは別に調査の枠組みの問題は県がリーダーシップを取ってほしい。
議員:県のスタンスとして、県民の意見を検討委員会に反映してほしい。
→要望書などは検討委員それぞれに送っている。

(2)第27回「県民健康調査検討委員会」の中で、話題となった経過観察後のがん発症例や県民健康調査以外でのがん発症例についても把握・公表すべきと、検討委員の中からも指摘され、星座長が「今後把握について検討をする」という答弁をされていたが、その後、どのように検討が進んでいるのか教えていただきたい。

→星座長の「把握についての検討する」の進捗状況を教えてほしいという質問にも、同様に次回検討委員会でという回答で、県としての答えはありませんでした。

Q: 検討委員会と次の検討委員会の間の話し合いはないのか?
→ 評価部会がある。

Q: 7月に検討委員が交替したはずだが公表されているのか?
→ 次回検討委員会の日程と共に公表する。この場では言えない。

Q: 県民の声を聞く場を設けてほしい。甲状腺がんが多発していることについて、県に聞きたいことが沢山ある県民の思いを理解してほしい。
→県の内外を問わず今までも聞いている。しかし、すべての個別の声は聞けない。

(3)事故当時4歳の方が甲状腺がんを発症し、手術したことを県立医大が、県の県民健康調査課及び検討委員に知らせなかったことについて、県としては追及をしないのかという質問が、6月5日の県民健康調査検討委員会・評価部会後の記者会見の場で出ていたが、県立医大に対して何か対応はしたのか教えていただきたい。また、その結果がわかれば教えていただきたい。

→この事例は集計外の事例だった。県立医大の健康調査部門と、臨床部門は別で、手術症例は個人情報に当たり集計外だったので把握していなかった。県としてそこを追及することは考えていない。県民健康調査のスキームの中で対応している。

Q: このような事例が出たときに、検討委員会の答えを待たずに県としてどのような対応をするか、考えていないのか?
→手術症例は守秘義務があるので、県立医大は適切に対応している。県民健康調査を進める上で、経過観察の段階については検討委員会に議論を頼みたい。

Q: 2年に一度の調査では少ない、毎年の調査を望む。なぜなら、2年後には発症することもある。子どもの甲状腺ガンは進行が速い、2年後には転移していることもある。浪江町は県の調査がない年に検診をして早期発見の対策を取っている。このことも検討委員会に伝えてほしい。

Q: 調査の発表の在り方が、県民との信頼関係を築く上で大事なところだが、4歳児の手術に関して、県からの発表ではなかったことが、県民としては裏切られた感がある。
→県立医大で手術したのに、隠していたと言われているが、調査部門と臨床部門が分かれているから起きたことだ。

Q: チェルノブイリでは5歳以下にも甲状腺ガンが出たが、福島では出ていないので原発事故との因果関係はないと言われていた。4歳児から出たということで、県立医大の中から報告や対策を取らなければというものはなかったのか?もっと危機意識を持ってほしかった。
→ 4歳児については県の調査の枠外から出てきた。すべての症例を把握することはできない。

Q: 県立医大が県から依頼された調査の枠の中でやっているのであれば、県民健康調査以外で発見されたがん患者の数の把握は県がすべきではないか?実際に子どもがん基金では、県立医大以外でも5名把握している。県は把握しようとしているのか。
→県としてどうするとは現段階で言えない。

Q: 一人の子どもに起きたことが県立医大の中でなぜ情報の共有がなされないのか?県が県民の健康を守るというのであれば、県立医大や検討委員会をリードしてほしい。
議:県民は県民健康調査により甲状腺がんの患者数を正確に把握してほしいと言っている。今の仕組みに穴があり網羅できないのであれば、その穴をつくろって網羅できるものにしてほしい、県がリードして県民の健康を守ってほしいということだ。

Q: 初めに作った仕組みが不十分なら、更に良くする仕組みに変えていってほしい。
→県民の健康を長期的に見守ることからこの制度を勧めている。しかし、疫学の分野は我々が専門家を引っ張ることはできない。

Q: 県民の意志という点からの提案だが、県民健康調査検討委員会の終了後、検討委員への質問は記者のみとなって県民はその後ろにいるが、県民も検討委員に直接質問や話を聞き、意見を届ける機会を作ってほしい。

Q: 国際環境疫学会が2016年1月に、環境省や福島県の県民健康調査課に協力したいとの書簡を送っているとのことだが、そのことに関してはどうなっているか?
→話はあったが返事はしていない。このことを議題にして検討はしていない。

Q: 甲状腺ガンが多発していることは、検討委員会でも認識されているのでは?
→多発ではなく、多発見だ。

Q: 他発見でもよいが、原因がわからないのであれば、外部からの新しい声を取り入れてもいいのではないか。
→疫学の専門家として、津金先生が検討委員会にはいる。

Q:津金先生が方向性を出していないのであれば、他の意見も聞いたほうがいいのではないか?

Q: 昨年12月に笹川財団が国際会議の提言として検診の縮小を知事に申し入れている。それであれば別の学会の提言も受け入れてもいいのではないか。検査の縮小に比重が行っているのではないか。
→去年の県議会への縮小をしないでほしいという請願も採択されている。県として縮小を発表したことは一切ない。検査を継続して行うということで今も変わっていない。

Q: 調査開始から4年が経つが、検討委員会の結論が出てこない。
→わからない部分もあるので、県民健康調査を続けて行く。

Q:初期被曝のところは調査のスタートの日にちはいつからですか?
→調べて報告します。(後日の回答は以下)
*外部被ばくの基本調査は、2011年3月11日~同年7月11日の4ヶ月間です。

→中間とりまとめでは原発事故の影響は考えにくいとしている。
Q: それでは何が原因として考えられるのか?別の原因があるのだとするなら、新たな意見を取り入れてほしい。

Q: 2巡目でも甲状腺ガンは多いと感じている。県は真剣に取り組んでほしい。

議員: 今のところ原因はわからないというのが妥当。原因究明と対応、治療している人のサポートをしてほしい。
県立医大が長崎大に患者の細胞を渡しているということがある。本人の了解を得てやっているのかという問題がある。

(4)県民健康調査の3巡目から、結果を市町村単位でなく浜通り、中通、会津という括りで公表する件について討委員会の中でも、今まで通りの形態で行わないと調査の一貫性に欠けるとの意見も出たが、その後、どのように検討が進んでいるのかを教えていただきたい。
 
→県としては小さい自治体では個人が特定されるので、このような形を考えている。

Q: 今まで通り市町村別でやってほしい。個人情報は出さなければよい。
Q: 大きな括りとなることは一歩後退したと思える。市町村がわからないと判断のしようがない、地域の行政に働きかけることもできない。

この後、「甲状腺検診の維持・拡充を求める会」の代表が要望書を読み上げ、課長に手渡しました。
要望書↓
https://drive.google.com/file/d/0Bw9-NJsCQLz9bmVyUEJqRTJkOEk/view?usp=sharing

Q: この他の要望として、
①県のサポート事業から外れている人たちについても考えてほしい。
②20歳以上の人達の検査が5年に一度になってしまうが、せめて2年に一度の間隔で検査してほしい。
県民健康調査で発見されないとサポート事業の対象とならないので、この観点からも検査の間隔は短くしてほしい。
③検査の縮小はしないということは、確認できた。
④ひだんれんの県交渉にも出席してほしい。                                            以上


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県民健康調査課との話し合い報告

福島県が私たちへの回答を避け、次回の検討委員会での議論を待つようにとした、第28回県民健康調査検討委員会の動画等はこちらをご覧ください。
アワプラネットTV
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