福島県知事 内堀雅雄様
国家公務員宿舎退去、「2倍家賃」通告を撤回せよ
敢えて申し上げます。知事は福島県政の歴史に「棄民強行」の4文字を刻むのでしょうか。
福島県は、原発事故避難者に提供してきた国家公務員宿舎入居者71世帯に対し、3月28日付生活拠点課長名で、3月末日での退去と、退去しない場合2倍の家賃を請求する旨の文書を送付しました。
これは、県民の命と生活を守るべき県知事の責務を放棄し、苦境にある避難者をさらに追い詰め、道理に基づいた対応を求め続けてきた全ての人々に対する信義を踏みにじるものです。即時撤回と正道に戻った誠実な対応を要求します。
私たち被害者団体は、昨年来「原発避難者の住宅と人権保障を求める共同アピール」、8項目の「緊急要求」を提出、県当局と話し合いを続けてきました。この中で明らかになった実態を踏まえ、2月15日には➀民間賃貸住宅入居者への家賃補助の継続➁国家公務員宿舎から退去できない世帯の入居継続と「2倍家賃」請求の撤回➂避難指示解除・帰還困難区域からの避難者の意向・実態調査と当事者との協議、の3点に絞った要請書を提出。3月22日の15回目の話し合いで知事の決断を要請、回答を求めています。この問題は、協議途中なのです。
国家公務員宿舎については、3月14日の衆院東日本大震災復興特別委員会でも取り上げられ、71世帯の住居確保ができていない事実を確認したうえ、「追い出し」、「2倍家賃請求」について渡辺復興大臣は、「あと2週間、そうならないように福島県も復興庁も努力している。4月以降の状況は仮定の話」と明言していました。
政府と福島県は、2週間、どんな努力をしたのですか。努力途中であるはずの28日、病や貧困ゆえに退去できないと訴えている71世帯に対して、3日後の退去と懲罰的な「2倍家賃」を請求するという、国権の最高機関である国会での大臣答弁をも反故にする今回の通告が許されるのですか。「個別事情を伺いながら、速やかに住まいが確保できるように支援を行ってまいります」という昨年12月17日の記者会見での知事答弁は何だったのですか。私たちは憤りを抑えることができません。
原発事故という人災によって行き場を失っている県民から、生活の根拠である住宅を容赦なく奪い去る通告。究極の「棄民政策」の強行を、私たちは断じて認めることはできません。即時撤回と、正道に戻った真摯な対応を要求します。
2019年4月4日
原発事故被害者団体連絡会
連絡先:☎080-2805-9004
Email:hidannren@gmai.com
「避難の権利」を求める全国避難者の会
連絡先:☎080-1678-5562
Email:hinannokenri@gmail.com
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