福島の原発事故による諸問題(2021.8.9現在)

 

項目

問題点

詳細

1.

福島第一原発の現状

①線量

2号機と3号機のシールドプラグ(原子炉格納容器の真上にあるふたのような部分)が高濃度(セシウム137の量は、2号機で約2040ペタベクレル(ペタは1千兆)、3号機で約30ペタベクレル)に汚染されている

※周辺の線量の測定値から2号機のその部分の線量を推定すると、毎時10シーベルトを超えるレベルになる。1時間もそばにいれば人は死に至る。

②設計の不備

12号機のベント用バルブの根元が切断されていた
・見過ごされていた設計の不備

③水位低下

13号機の水位低下
1号機原子炉内への注水量を1時間当たり3トンから4トンに増やした
・事故時の損傷部分が地震で広がった可能性

④地震計

3号機の壊れた地震計を放置
3号機に設置した2基の地震計が修理されずに放置され、2021/02/13の地震のデータが取れていなかった

⑤廃炉

・東電廃炉ロードマップの欺瞞
・最終形が決まっていない
・法律が作られていない

⑥構内見学

・見学台の放射線量は50100μSv/h
・高校生による見学の実施

2.

廃棄物

①管理状態

・福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で保管する放射性廃棄物入りコンテナの管理はが、事故から1年間は内容物を記録していなかった
・記録を取り始めてからも201711月までは、どのコンテナに入れたのかを照合できない状態
・約8万5000基のうち約4000基の内容物が特定できない

3.

汚染水

 

①海洋放出

・原発サイト内に貯留されたALPS処理汚染水は125万トン
20214月、汚染水の海洋放出を強引に決定
・合意プロセスの問題
・東電、国と漁連との約束の反古
・福島県内自治体議会の反対、国内外からの署名や声明、パブリックコメント、署名などを全く反映していない

・汚染水のトリチウム他の放射性物質の問題
・経産省、環境省、東電などの説明や宣伝の在り方
・汚染水測定の方法への疑問
・凍土壁の失敗

4.

汚染土

①再利用計画

 

・除染によって集められた汚染土は中間貯蔵施設への搬入は2021年度に帰還困難区域を覗いて完了する見込み
453月までの県外最終処分については道筋が示されていない
・中間貯蔵施設はあくまで一時的な保管場所で、法律で「貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分する」と定められている
・環境省は最終処分量を減らすため、除染土を公共工事などに再利用する計画

・飯舘村の汚染土は帰還困難区域の長沼地区で資材化され農地として再利用計画
・南相馬市東部仮置場における再生利用実証事業
・官邸に除染土の鉢植え

5.

 

被ばく労働

①収束作業

・いまだ高線量での過酷な労働
・死亡事故 21件 怪我、熱中症など多数
・廃炉作業に従事する作業員数は4000
・作業員の被ばく低減期間の不在

6.

 

放射線防護

①教育

・放射線副読本は、健康への影響を過小に見せるなど,内容が偏っているという問題点が指摘されている
・一般人の構内見学
・見学代の放射線量50100μSv/h
・高校生の見学

②講座・イベント

・学校などでのエネ庁の説明内容
・宣伝動画やリーフレット内容
・環境省の説明会の内容
・学生に向けた講座、イベント、ぐぐるプロジェクトなど
・国際教育研究拠点

③移住促進

・福島県12市町村への移住支援金(最大200万円)

④メディア

・各省庁、福島県、自治体が発注している
・安全安心のみの偏向報道

⑤保養

・公的な保養は未だない
・市民による保養の経済的、人的困難

7.

 

避難者

①避難解除

・避難解除は、年間20ミリシーベルト以下という理不尽な基準で実施
・避難解除とともに賠償や住宅支援が打ち切られる
・避難解除による望まぬ帰還での経済的困窮と精神的な追い込み

②住宅

・行政による追い出し裁判の実施
・退去できない避難者への2倍家賃請求
・退去できない避難者の親族への通知と訪問

③避難者数

・避難者数を把握しようとしていない

④実態把握

・避難者の実態を把握しようとしない

⑤いじめ問題

・相談先がない

⑥孤立

・避難を理解する人が身近にいない
・相談先がない
・再就職が難しい
・子どもの預け先が難しい

⑦人権問題

・国連のセシリア・ヒメネス・ダマリー特別報告者(国内避難民の権利担当)が、東電福島第1原発事故の避難者調査のため18年から3回にわたり訪日を要請しながら、日本政府は一度も回答せず事実上放置している

8.

健康被害

①県民健康調査

がんとがんの疑いが260名(良性1名を含む)
事故当時18歳以下の子どもたちを対象とした県民健康調査甲状腺検査における評価部会では「被ばくの影響は考えにくい」としている
・県民健康調査の目的には「原発事故を踏まえ福島の子どもたちの健康を長期的に見守る」とある

②小児甲状腺がん

・県民県健康調査以外27人(2017年までのがん登録により)がようやく発表されたが、正確な数は把握されていない
・根強い検査縮小論がある
・罹患当事者が声を上げ始めた

③甲状腺がん以外の健康被害

・全く調査されていない他の疾患
・見過ごせない大人の甲状腺がんの発症

④内部被ばく

・「黒い雨裁判」との連携
・認められない内部被ばく

⑤精神的な被害

・鬱、PTSDの実情

⑥健康手帳

・多くの人が必要を感じながらも運動が起こせていない

⑦その他

・除染が終了しても、多くの地域は事故前の放射線量には戻っていない
・事故によって拡散された放射性物質が環境にあり続ける中で、子どもたちは成長していかざるを得ない
・大人は放射能への正確な知識と情報を伝えるべきだが、放射能の危険や事故による被害の実態、事故の責任など最も必要とされる情報が抜け落ちている

9.

 

災害関連死

 

①災害関連死

・全国における災害関連死3773人の中、福島県における災害関連死2313人(2020.9発表
※「震災関連死」の人数は、岩手県と宮城県は震災直後から翌2012年までの1年間だけ急増し、その後は「年間に数人」という状態が続いているが、福島県だけは、震災直後から現在まで増加し続けている

②自死

・東日本大震災に関連する自死は、2020年で5人、約10年間の累計は240人
・そのうち福島の原発事故を要因とする自死は約半数の118人

③孤独死

・仮設・災害復興住宅での孤独死614人(福島155、岩手154、宮城305、自殺者含む、2020年まで)

10.

 

責任追及

①裁判

・二度と同じ悲劇が起きないように、同じ困難に合う人がいないように原発事故が起きた原因、背景などをもっと突き詰め、これからの人の意識や社会の変革を目指す必要がある
・損害賠償裁判
・行政裁判

・刑事裁判
・政府、県との交渉
・東電との交渉

11.

木質バイオマス発電所

①汚染木の焼却

・福島県の再生エネルギー事業の一環として、複数の木質バイオマス発電所が建設されている
・森林の除染も兼ねると謳われているが、汚染された木を燃やして発電することの危険性
・カーボンニュートラルにならない木質バイオマス発電
・森林除染も兼ねている?
・排気とともに拡散する飛灰、濃縮された主灰の行方の問題
・東電など原子力関連企業の参画
・田村市大越町の市民が裁判を起こす

12.

イノベーション・コースト構想

①復興予算の使途

・イノベーション・コースト構想
・福島ロボットテストフィールド
・東日本大震災・原発災害伝承館
・ふくしま12市町村移住支援センター
・福島廃炉関連産業マッチングサポート事務局
Fukushima Tech Create 福島イノベーション創出プラットフォーム事業

Hama Tech Channel
・イノベラボ(子供向けサイト)
・福島イノベツーリズム

Hama Info Share
・コミュタン福島
・福島県復興加速化計画の一環にあるこの事業には、莫大な復興予算が投じられている
・福島県浜通りには、事故前にはなかった多くの最先端技術を開発する大規模な施設が建設されている
・それらには原発関連の企業や研究施設もある
・被害者が望む復興との乖離
・ハンフォードをモデルとする国際教育研究拠点

 

<福島県交渉>第29回県交渉質問事項及び回答

ひだんれんと、避難の権利を求める全国避難者の会、避難の協同センターの3団体は、29回目となる福島県交渉を行いました。 開催日時:2023年8月15日(火) 14時~15時 開催場所:オンライン 参加者: <福島県> ・原子力安全対策課:水口昌郁 主幹兼副課長 ・原子力安全対策...