2020年1月25日土曜日

<書面提出>「ALPS処理汚染水を環境中に放出しないために、あらゆる対策を講じることを求める要請書」

 1月22日、ひだんれんと脱原発福島ネットワークが共同で、経済産業省「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」へ「ALPS処理汚染水を環境中に放出しないために、あらゆる対策を講じることを求める要請書」を賛同団体23団体の連名で提出しました。


 増え続ける ALPS 処理汚染水に関し、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(以下、小委員会)が2018年8月に、富岡町、郡山市、東京都で開催した「説明・公聴会」では、44人の意見公述人中42人から陸上長期保管案が提案されましたが、それらの十分な審議も議論も行わないまま、12月23日の第16回・小委員会で、事務局が処分方法を水蒸気放出と海洋放出、及び、二つを併用するケースに絞り込みたたき台としました。

 委員間で海洋放出や水蒸気放出による処分が結論づけられたわけでもないのに、このような恣意的な取りまとめ案を提出することは、事務局が小委員会の方向性を誘導しているものと言わざるを得ず、当事者不在で誤った決定がなされることがないよう、原発事故被害者や市民の意見を届けて、放射能汚染水の環境放出を食い止めなければならないと考えるためです。

 経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力発電所事故収束対応室の「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」事務局に、武藤類子共同代表、脱原発福島ネットワークのメンバーでもある、大熊町町議会議員木幡ますみさん、ひだんれん事務局長大河原で手渡しました。山本委員長だけではなく、12人の委員一人ひとりにも送ってほしいと、宛名を書いた要請書も一緒に渡しました。

 要請書提出のアポイントメントを取るため、事務局長的な役割の奥田対策官に手渡したいと電話をしたところ、直接は受け取らないので郵送するようにとのことでした。直接会って話しをして手渡したいと強く要請したところ、受け取りはするが対策官ではなく担当職員が受付で受け取るだけということになりました。プレスリリースをしていたため、複数のメディアが取材に来て写真を撮ろうとしたところ、経産省の敷地内で写真を撮ることは事前の申請がないのでできないと、経産省別館前の歩道で読み上げて手渡しとなりました。担当者はそのつど電話で上司の指示を仰いだため、手渡すまで30分近くかかりました。公僕である公務員がこのような態度をとるのは、主権者に対する間違った対応だと抗議しました。

 連名の賛同団体は提出後も申し込みがあり、最終的に26団体となりました。

●福島県内(五十音順)
会津放射能情報センター
原発事故の汚染処理水を海に流させない市民の会
原発事故被害者相双の会
原発いらない福島の女たち
これ以上 海を汚すな市民会議
子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト・郡山
TEAM ママベク 子どもの環境守り隊
虹とみどりの会
ハイロアクション福島
はっぴーあいらんど☆ネットワーク
フクシマ・アクション・プロジェクト
福島原発30キロ圏ひとの会
認定 NPO 法人 ふくしま 30 年プロジェクト
特定非営利活動法人ふくしま地球市民発伝所
ふくしま WAWAWAー環・話・和ーの会
福島原発震災情報連絡センター
放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会
緑ふくしま
モニタリングポストの継続配置を求める市民の会
モニタリングポストの継続配置を求める市民の会・三春

●福島県外・全国
3.11 ゆいネット京田辺 (京都府)
原発ゼロプログラムの会 (京都府)
原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会
「避難の権利」を求める全国避難者の会
放射線被ばくを学習する会
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

◆要請書
                               2020年1月22日
経済産業省 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会
委員長 山本 一良 様

ALPS処理汚染水を環境中に放出しないために、あらゆる対策を講じることを求める要請書

要請団体 原発事故被害者団体連絡会
脱原発福島ネットワーク

 東京電力福島第一原発の敷地に増え続ける ALPS 処理汚染水に関し、経産省、資源エネルギー庁の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(以下、小委員会)が、2018年8月30日富岡町、31日郡山市、東京都で開催した「説明・公聴会」では、公聴会の説明用資料にあった地下埋設・地層注入・水素放出・水蒸気放出・海洋放出の5案ではなく、大多数の意見公述人より大型タンクでの陸上長期保管案が提案され、山本 一良委員長は、東京での公聴会の終了直後、陸上保管案を検討すると約束しました。

 しかし、タンクでの貯蔵継続案が議題に上がったのは、公聴会から一年近く経った2019年8月9日の第13回小委員会でした。東電からは「大型タンクや、洋上・地下での保管継続は困難」である旨の説明があり(同委員会・資料4-2)(1)、これに対して委員から、敷地北側の土捨場の利用や、敷地を周辺の中間貯蔵施設に拡大する案、「風評被害」を避けるためタンク貯留を始めたのだから、社会的影響を与えないことが確認できるまで放出はすべきではないなど、貯留継続を進める意見が大勢を占めました。

 9月27日の第14回小委員会では、東電が「使用済燃料及びデブリ取出しに関する施設の設置にも用地が必要」「(敷地北側は)廃炉作業に伴い追加的に発生する廃棄物を処理・保管するエリアとして活用したい」「現在の福島第一の敷地内で廃炉作業をやり遂げることが基本方針」である旨を説明しました(同委員会・資料3)(2)。

 また、事務局からは「福島第一原発の敷地の外側を、中間貯蔵施設以外の用途で使用し、敷地を拡大することは難しい」、「(敷地の拡大が難しいという)考え方を整理するに当たっては環境省とも相談をさせていただいて、環境省と同じ考え」である旨の説明もあり(同委員会・資料2(3)、及び同委員会議事録・14頁(4))、委員会の結論としては、敷地の有効利用を徹底し、第一原発敷地内に可能な限りタンクを増設する方向で引き続き議論を進めることとなりました。

 しかし、11月18日の第15回・小委員会では、事務局がUNSCEAR2016の評価モデルから海洋放出と水蒸気放出による放射線量被曝を計算し、仮にタンクに貯蔵されている処理⽔全てを1年間で処理しても、年間⾃然被ばく線量と⽐較し⼗分に小さいなどと説明し(同委員会・資料3)(5)、委員からは環境の条件設定がない中での評価は現実的ではないとの指摘がありました。また、東電から海洋放出による処分開始時期と廃炉完了までの時間軸を示す資料が提供されました(同委員会・資料5)(6)。

 そして12月23日、第16回・小委員会では、事務局が委員会としての取りまとめ案を提示し(同委員会・資料4)(7)、処分方法を水蒸気放出と海洋放出、及び、二つを併用するケース1~3に絞り込みました。委員間で海洋放出や水蒸気放出による処分が結論づけられたわけでもないのに、このような恣意的な取りまとめ案を提出することは、事務局が小委員会の方向性を誘導しているものと言わざるを得ません。

 委員からも「海洋放出の際の風評被害は特に厳しくなる」との指摘もある中で、審議・議論が不十分なまま、拙速にとりまとめるのではなく、放射能汚染水の処分による社会的な影響を考慮し、その対策を提言する委員会であれば、再度、地元や国民全般からの意見を聞く公聴会を開くべきです。

 これ以上、放射性物質を環境中に放出することは、日本だけの問題ではなく、国際的にも、また次の世代に対しても許されないことです。

 事故を起こした世代の責任として以下を要請いたします。

① これ以上、放射性物質を環境中に放出しないために、小委員会では拙速なとりまとめをせず、ALPS処理汚染水の長期保管について十分な審議・議論を行うこと。
②  デブリ取り出しなどの廃炉計画の見直しも含めて検討し、各種の訓練・研究施設等は敷地外に建設するなど、徹底的な検証により、ALPS処理汚染水の保管のためのタンク用地を確保すること。
③ ALPS処理によってもトリチウム以外の核種が除去できず残留している状態では、希釈の有無に関わらず、環境中へは放出しないこと。
④「とりまとめ案」に対する「説明・公聴会」を福島県に限らず、全国各地で行ない、広く国民の意見を聞くこと。

上記要請について、1月31日までに文書による回答を求めます。

◆要請書へのリンク

1月22日提出版
団体連名更新版

◆資料、議事録へのリンク

(1)第13回小委員会・資料4-2「多核種除去設備等処理水の貯留の見通し」13頁以  降
(2)第14回小委員会・資料3「廃炉事業に必要と考えられる施設と敷地」
(3)同小委員会・資料2「貯蔵継続に係る事実関係の整理について」
(4)同委員会・議事録(14頁・奥田対策官の発言)
(5)第15回小委員会・資料3「ALPS処理⽔の放出による放射線の影響について」
(6)同委員会・資料5「多核種除去設備等処理⽔の貯蔵・処分の時間軸」
(7)第16回小委員会・資料4「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 取りまとめ(案)」

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