第5回となるひだんれんの合宿は、ひだんれん内7団体、ひだんれん外の団体も5団体が参加し合計11団体14名の参加で、原発事故後の福島の問題を共有し、それぞれの団体の状況を報告し合い、今後のひだんれんの活動を方向付ける有意義なものとなりました。
【日程】2019年12月8日(日)13時~9日(月)11時
【場所】郡山温泉(福島県郡山市)
【参加】11団体
<ひだんれん加入団体>
・被災者フォーラム山形・福島
・原発避難者住宅裁判を準備する会
・川内村原発被災者生活再建の会
・子ども脱被ばく裁判原告団
・福島原発かながわ訴訟原告団
・福島原発告訴団
・福島原発被害山木屋原告団
<ひだんれん以外の参加団体>
・田村バイオマス訴訟原告団
・福島第一原発過労死責任を追及する会
・福島原発事故津島被害者原告団
・福島原発被害山木屋ADR申立・未来の会
・福島原発刑事訴訟支援団
【参加者】14名
【内容】12月8日(日)
①13:00-13:30
DVD上映。
3.11大震災シリーズ「アリの叫び」~原発事故避難者たちの選択~
今年山形放送で制作され9月に放送。山形に避難し避難住宅提供打ち切り後、家賃の支払いをめぐり被告となった、「被災者フォーラム山形・福島」代表の武田さん夫妻と、別の福島に帰還した家族を追ったドキュメンタリー。
②13:30-15:00
武藤類子共同代表より、原発事故から8年後の福島が抱える問題の共有を図るため、パワーポイントを使ってのプレゼンの後、参加者でディスカッションを行った。
・福島県民の代表にならない県や市議会に対する不信感、三権分立していない司法に対する不信感は大きく、政権交代しない限りこの状況は続く。各地区で全力を挙げて選挙で変えるしかない、と政治状況についての意見が出る。
・放射能汚染状況に関して、国や県は空間線量だけで土壌汚染の測定をしないが、裁判の中で土壌汚染測定をして可視化していくことが必要との提案がある。
③15:15-17:30
各団体より状況報告
④17:30-18:00
【各団体からの報告】
被災者フォーラム山形・福島 ※当日配布資料はコチラ
代表 武田徹さん
・米沢住宅追出し訴訟第10回口頭弁論で、裁判長は既に書証で立証されているとして人証をすべて却下したため、弁護団は裁判官の忌避を申し立てた。
・11月に忌避申立も却下されたため仙台高裁に即時抗告した。仙台高裁で差し戻しになれば結審する。
・損害賠償裁判と住宅裁判は違う。住宅裁判は負ければ追い出されてしまう。
原発避難者住宅裁判を準備する会 ※当日配布資料はコチラ
熊本美彌子さん
・国家公務員宿舎に住む区域外避難者は、以下の3つに分けられる。
A 福島県とのセーフティネット契約にサインし契約した。
B 契約書にサインしなかった。
B-①2107年12月県議会で調停にかけるとの通知により契約した(7世帯)
B-②2017年12月県議会で調停可決。調停後不調となる(5世帯)
C 福島県との契約拒否。
・現在の状況
A 生活保護世帯、退去が決まっている世帯を除いて、2019年4月以降は契約を継続しないので退去せよ。退去しなければ家賃相当の2倍を請求するとして退去を迫る。
10月1日現在 7月分として42世帯に納付書が送付された。
2倍請求されている世帯を支援するため弁護団が結成され、12月に委任契約を結ぶ。
B‐② 2019年12月県議会で明け渡し訴訟の議決がされた。11月末日で退去せよという通知が届く。当事者と弁護士との委任契約済み。
・Aの2倍家賃を請求されている入居者を支援する会を立ち上げる。
川内村原発被災者生活再建の会
代表 志田篤さん(お仕事のため、終了後の交流会に参加されました)
・帰還率は80%ほどだが若い人は少ない。ゆくゆくは自治体として成り立たなくなるのではないか。
・シングルマザーを呼び込む政策を立てているが、移住者はそれほど多くはない
・固定資産税確保のために、太陽光発電、風力発電を誘致している。
・村の診療所は毎日開所するようになったが、透析などは小野町の病院に通っている。
・高齢者などの困窮者のため、「生活再建の会」が生活クラブ生協と提携してフードバンクを行っている。
子ども脱被ばく裁判原告団
団長 今野寿美雄さん
・10月1日に、セシウム含有不溶性放射性微粒子の問題について放射線計測の専門家として河野益近氏が証言したので、それに対する国や自治体からの反対尋問が12月19日にある。
・1月23日の裁判はなくなり、2月14日に福島医大鈴木真一氏の証人尋問、3月4日は山下俊一氏の証人尋問がある。
・夏に結審する予定。
「子ども脱被ばく裁判ブログ」 http://datsuhibaku.blogspot.com/
福島原発かながわ訴訟原告団 ※当日配布資料はコチラ
団長 村田弘さん
・今年2月に集団訴訟として8番目の判決となった。集団訴訟の共通の争点は、国の責任と損害をどこまで認めるかの二つ。現在まで9判決中、国の責任を認めたのは6判決、3は認めていない(千葉第一陣、第二陣、愛知)
・かながわ訴訟では国の責任を認め、損害についてもあらゆる権利が同時に奪われたこと、ふるさと喪失についても明確に定義づけた。
・賠償については底上げはしたが、区域割を認め枠を認めた上で上積みをした。
原陪審指針は物差しにならないと言っている。現地検証をし、線引きをしても生活圏は同じということを認めた。
・健康被害を認めさせようと力を入れたが、健康被害は物差しにならない、社会通念で考えるのが適当と逃げられた。そこを控訴審で闘いたい。
・控訴審 12月20日14:00~ 第1回口頭弁論 東京高裁
代表 久住秀司さん
「木質バイオマス発電」と言うが、放射能汚染された木材を民間に払い下げ、それを燃やして発電する火力発電にすぎない。排ガスにより比較的低線量の地(田村市大越町)が再汚染されてしまう。予定地から半径250mのごく狭い地域にしか説明しなかったので説明会を要請したが田村市は無視した。県議会議員だった現本田市長になってから、樹皮は燃やさない、チップ工場は作らないという約束が反故にされた。
今年9月、福島地裁に本田市長の公金支出差し止めを提訴。11月14日第1回期日。
第2回期日 1月23日(水)13:10~ 福島地裁
請求の概要、趣旨は以下のサイトを参照
「ゴミから社会が見えてくる」 http://gomif.blog.fc2.com/blog-entry-642.html
ふくしま連帯ユニオン副委員長 佐藤昌子さん
2017年10月、福島第一原発で特殊車両の修理をしていた猪狩忠昭さんが、全面マスク、防護服のまま亡くなった。1か月100時間以上の残業があり、「長時間労働による過労死」と労災が認められたが、東電と元請け、雇用主は認めないため2019年2月に、謝罪と残業代の支払い、緊急医療体制の構築を求めて提訴。フクイチでは被曝労働者20名が死亡しているが、名前を公表して裁判を起こしたのは猪狩さんが初めてで、歴史的な裁判。裁判の中でフクイチでの過重な被曝労働の実態が明らかになってきている。
「福島第一原発過労死責任を追及する会」
https://investigation1026.blogspot.com/2019/06/blog-post.html
①飯舘村蕨平仮設焼却場の灰処理業務による被曝労働裁判
「ゴミから社会が見えてくる」
http://gomif.blog.fc2.com/blog-entry-530.html
②佐藤昌子さん自身も、ホームヘルパーとして「厚労省が訪問介護現場で労働基準法が順守されない違法状態を放置している」と国家賠償訴訟を今年11月に起こした。
「週刊金曜日『ホームヘルパー裁判』」
福島原発事故津島被害者原告団
副団長 佐々木茂さん
・津島原告団へのアンケートを基に、蟻塚亮二精神科医(2013年より福島県相馬市のメンタルクリニックなごみ院長)の診断が今年9月に出た。48%にPTSDの徴候があると。かなり高い数値だ。過去の記憶のフラッシュバックだけではなく、将来に対する不安からのフラッシュフォワードが表れて来るとみている。
・津島のそれぞれの家が取り壊される前に、ドローンを使って上空から村の一軒一軒すべて故郷の家を撮影している。
・獨協医科大学木村真三准教授への反対尋問が3月、原告本人尋問が5月まで続き、7月証拠調べ、9月に結審する。
・公正な裁判を求める署名活動。3万筆を目標に。各団体にもお願いしたい。
「津島原発訴訟弁護団」 http://www.tsushima-genben.com/lawyers-com/
福島原発被害山木屋ADR申立・未来の会
菅野経芳さん
・2014年にADRの申し立てを行い(49世帯)全損扱いで回答が出たが賠償請求の38%だけだった。ふるさと喪失訴訟を起こすべきだとの意見もあるが、東電と裁判所の対応をみると難しいと弁護士は乗り気ではない。山木屋ADRの後の集団ADRに、東電は一切答えていない。→浪江は集団ADRがダメだったので、個別に申し立てをしようと考えている。
・山木屋地区は、ADR申立参加者、訴訟団参加者、両方に参加している人もいる。
<山木屋原告団> 団長 菅野清一さん
今回は川俣町議会が会期中のため参加できなかったため、以下、電話による聞き書き。
第一陣の控訴審が11月に結審し、判決は3月12日。
12月18日午前10時~ 2陣(第40回)原告本人尋問 福島地裁いわき支部
福島原発告訴団
団長 武藤類子さん
福島原発刑事訴訟支援団
団長 佐藤和良さん
時間の関係で以下のDVDを上映して報告に代えた。
DVD『東電刑事裁判 不当判決』上映(33分)
9月19日の無罪判決について、海渡弁護士と大河弁護士が不当性を解説。
「東電刑事裁判
不当判決」 https://shien-dan.org/movie-201911/
◆今後のひだんれんの活動について
① 福島県との交渉を継続する。
・避難住宅問題を基本にして、避難指示区域外、区域内の実態を明らかにさせる。
・復興(災害)公営住宅の住宅補助問題
・住宅支援、調査などを民間委託している問題
・交渉への参加を県内の団体に呼びかける
② 損害賠償の時効問題
・東電が時効にはしないと会見で答えたが、口頭ではなく特措法への明記を求める。
・賠償の時効問題に関する講演会など、具体的な活動は今後の幹事会で計画する。
③ 「福島県はオリンピックどころではない!」アピール行動を行う。
・原発事故が継続中にもかかわらず、オリンピックを口実に被害を隠蔽して収束したかに見せかける国や県に対して、福島県の実態をアピールする。
・聖火リレーコースなど注目される場所を選んでリレー式に行う。
・具体的な内容は幹事会で検討する。
④ 住宅支援打ち切りによって、帰還した避難者が集える会を設ける。
・財政的に可能かどうか、補助金などを調べ、次回幹事会で報告する。
→担当 事務局
→担当 事務局