12月25日(水)原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)と「避難の権利」を求める全国避難者の会の共同福島県交渉を行いました。
今回の交渉は、3年5カ月に及ぶ区域外避難者の住宅打ち切り問題交渉の「総決算」として、国家公務員宿舎の「2倍家賃」請求、追い出し提訴の中止・撤回を決断させるべく、総力を挙げて臨みましたが、県の担当者はこれらの要求を頑なに拒み、ゼロ回答となりました。
【日時】12 月 25 日(水)
【会場】福島県庁
【参加者】
<福島県>5名
避難地域復興課総括主幹、生活拠点課主幹、主任主査、避難者支援課主幹、主任主査
<ひだんれん>10
名
<「避難の権利」を求める全国避難者の会>2名
【交渉記録】
質問1.)2倍請求はいつまでやるのか?
回答1)対象者がいる限り請求。
質問2.)止めるための条件はあるのか?
回答2.)未納金を完納して退去すれば止める。
質問3.)2倍家賃は財務省に収めているのであれば、財務省が要らないと言えば止めるのか?
回答3.)我々の根拠としてはそうなる。
質問4.)セーフティネット契約は 2 年間の間に自立してほしいという県の願望の元にできた制度。2 年間に入居者の実態を把握し、見合った支援をと申し入れてきたが、福島県は実態把握もせず、
2 年経ったから打ち切るとなった。これは政策としておかしくはないか?12 月以降納付書を送らないとしてほしい。
回答4.)それはできない。
質問5.)これ以上被害者も黙っているわけにはいかないから、必ず対抗手段をとることになる。そうなれば我々は全面的にそれを支持する。それでもいいのか?
回答5.)それでも
2倍請求を止めることはできない。
質問6.)次の住まいが決まってない人たちに対し、明け渡し訴訟を起こすということは路頭に迷えということ。訴訟を起こさないでほしい。避難者を追い詰めないでほしい。どうして転居できないのかを県は把握してほしい。
回答6.)そのために個別に連絡しているが、電話に出てもらえない。
質問7.)福島県の追加事前質問に対する回答によれば、2倍家賃請求の対象世帯は、4月当初 63世帯、8 月は
40 世帯。納付世帯は、4月は 17 世帯、8月は 5世帯。支払っているのは 40 世帯中、5世帯のみということをどう理解しているのか?
回答7.)当人に聞かないとわからない。5世帯ということは、それ以外の世帯分を福島県が支払っているということ。電話に出ないので訪ねて行っても会えない。
質問8.)福島県に対しての信頼がない。自分たちが支払えない物件を紹介するなど、実態に見合っていない。都営住宅などに入れるような働きかけを、福島県から東京都にしてほしいと要請してきた。東京都の公営住宅でなければならないのか?復興公営住宅でなくてはいけないのか?東京や埼玉に復興公営住宅はないのか?
回答8.)福島県にしかない。
質問9.)福島県が行っている移転サポート事業を利用したが、案内された住宅はゴミだらけのヒドイものだった。委託事業者のチェックはしているのか?
回答9.)点検をしてなかったのでこれから行う。
質問10.)北海道ではサポート事業のケーススタディをしている。福島県が事業者の働きを把握していないのではないか?
回答10.)ケーススタディに関しては個人情報保護から難しい場合がある。
質問11.)受託事業者に対して「自主避難者」について学ぶ場が必要ではないのか?
回答11.)北海道の動きを参考にしたい。
質問12.)12月21日の東京フォーラムの避難者交流会で、福島県知事と避難地域復興局長に対し、避難者の一人が、「2倍家賃請求と5世帯の提訴を止めてほしい」と訴えたところ、避難地域復興局長は、「同じ考えであるから実現に努力する」と言ったが、どう努力するのか?
回答12.)そういう意味ではなく、「困っている人を救いたい、何かをやります。同じ方向を向いています。」とは言ったが、「2倍請求を止めます。」「提訴を止めます。」とは言っていない。「住まい探しに努力する。」と言った内容である。
証言1.)2倍請求をされている妻子避難の男性。(埼玉の国会公務員住宅に居住)
・セーフティネット契約時対応への不信感と契約内容に納得できない。
・福島県にいろいろ話しても聞くだけで何も改善されない。
・訪問してくるのは「おっかない人」で母子だけでは恐い。
・説明会に行っても「除染しただろ、戻れ、戻れ」と言う。
・郡山の自宅を訪ねてきて「家を売ればいいんじゃない」「犬は処分すれば」と言う。
・郡山の線量は未だに高いところがあるから戻れない。4 番目の子どもは生まれながら重い心臓病で、手術した医師のそばを離れたくない。
・公平性と言うが 2倍請求が公平なのか?支援するときは
2万、3 万の補助金で、出る時は 20 万、30万支払えというのは公平でない。
証言2.)仮設住宅が打ち切られ、住人がバラバラにならないように、シェアハウス建設を求めながら志半ばで亡くなられた藤島昌治さんの詩を朗読した。朗読は「避難の権利」を求める全国避難者の会の鈴木哉美さん。鈴木さんは郡山市から北海道東川町に避難し、今年
2月の東川町会議員選挙で当選し、町議としても活躍中。
※藤島昌治「シェアハウス始末記」はコチラ
提出)復興大臣と福島県知事宛てのネット署名「原発避難者への懲罰的な『2 倍家賃』請求を止めてください」の追加分を提出。
署名数は第 1 次 13,338 筆、第 2 次
4,199 筆、第 3 次 11,177 筆の合計 28,714 筆。
特徴的なことは、9
月 19 日の福島原発刑事訴訟判決で東電の旧役員が無罪となった日に、署名数が一気に 1 万筆を超えた。これはこの判決への批判票と同時に、国と福島県に対する「避難者を守れ」という強いメッセージだと受け止めた。
要望1.)自主避難者の住宅打ち切りの時に、県内在住者との公平性のためにと言われたが、この状態は公平ではない。誰かに痛み苦しみを負わせることが公平だとは思わない。原発事故が起こってしまった以上それぞれの選択がある。福島県内でも県外でも安心して住めるようにすることが公平性である。福島県知事が原発事故の光と影と言ったが、そこで行っていた影とは国や東電が作った影のことであり、福島県が作っている影を福島県がわからない限り、それは誰にとっても公平な社会になっていかない。どの命も大切にされる社会になっていかない。今日はクリスマス、クリスマスは一番悲しんでいる人のためにある。誰の命も救う施策にしてほしい。
要望2.)2
倍請求と5世帯提訴の中止と撤回を求める。
次回交渉)3月末期限とされている区域内避難者、帰還困難区域の打ち切りについて集中論議する。
※追加質問の回答はコチラ
以上