話し合いに入る前に、「ひなん生活をまもる会」が取りまとめた、全国16団体からの2万2930筆にのぼる、住宅の無償提供打ち切り撤回と長期無償提供を求める署名が提出されました。今まで提出したものと合わせると、総計8万6971筆になります。
交渉の初めに、今月17日の「群馬訴訟」前橋地裁が国と東電の過失責任を認め、賠償が不十分だと認定し、低線量被曝を恐れて避難することには合理性があるとした判決に対する、県としての見解を求めましたが、福島県の担当者は、事前の質問事項にこの項目が無かったので、担当部署が出てきていないため担当部署を飛び越えて話すことはできないと、質問への回答を避けました。
内堀知事はこの判決後の3月21日の定例記者会見で、「司法による判断についてはコメントを差し控える」としたため、今回の交渉でも生活支援課の担当者はそれに倣ってコメントできないとしながらも、国の賠償責任が認められれば、福島県の独自支援策として住宅の家賃補助制度を設けている立場から、当然注視していかなくてはならないとも答えました。
今回の交渉でも、県としての災害救助法の応急救助の期間は終了した。終了した後も避難する世帯があるという事実を前提にして県独自の支援制度を作ったが、家賃補助については、子ども・被災者支援法によるものではなく、県の基金から捻出をしているので、財源の部分で個人の支援は難しいと繰り返しました。「一人ひとりに寄り添った支援をする」と言ってきたこととは、矛盾する内容です。
また、災害救助法の打ち切りについては、決定は県知事だがその基準は国が示し、国の同意が必要で決定したことなので、国に打ち切り変更の打診はしない。ということを繰り返す答弁で、私たちの要求への歩み寄りは全く見られませんでした。
県は97%の避難者の新たな住まいが確定したとしていますが、実際には契約はしたものの、4月からの家賃が払えない世帯があることや、国家公務員宿舎に継続入居する世帯は、月々10万円近い負担になること、保証人が見つからないなど、4月からの生活を安定して迎えられない人が多いのが実態です。県はその実態を把握しながら、打ち切りを強行しようとしており、私たちの再三の撤回または延長の訴えにも耳を貸そうとはしませんでした。
4月以降の対応については、支援機構を含め、オーナーの手続きが第一義的な部分となるので、家賃が払えないということであれば、支援機構などのオーナーが法的な手続きに入るということを通知していることは聞いていると、対応を丸投げしていることも明らかにしました。
その一方で、打ち切り後も新たな住まいが確定しない世帯には、支援を続けるとしていますが、現時点で何ら具体性のない口当たりのよい”支援”が本当に実行されるのか、住まいが見つかればそれで終わったのではなく、避難者の生活が安定するまでの支援を県がやろうとするのかの確認が必要です。
ひだんれんとしては、来年度以降も県との交渉を継続し、新たな要求も加えながら、原発事故被害者の権利が守られるよう働きかけを続けます。
◆「民の声新聞」 毎回の取材と記事をありがとうございます
自主避難者から住まいを奪うな】来週打ち切り。「避難者」より「復興」を優先。一度も対話せず笑顔で切り捨てる内堀知事に募る怒り~第7回福島県庁交渉
◆第7回県交渉を伝える 朝日新聞福島支局 3月25日の記事