8月29日、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)と「避難の権利」を求める全国避難者の会、避難の協同センター3団体合同による緊急政府交渉を衆議院第2議員会館第5会議室にて行いました。
国と福島県は、3月末で国家公務員宿舎から退去できなかった避難者63世帯に、2倍の家賃請求をはじめています。何度も要請してきた避難者の実態調査は、実施されることはありませんでした。
現在、転居できなかった避難者に対し、繰り返しの退去勧告と2倍の家賃請求支払い督促が続き、精神的に追い詰められています。福島県は「最後の1人が退去するまで続ける」と〝追い出し〟の姿勢は変えていません。
これとは別に、福島県は、契約自体を拒んで入居している避難者に対して〝追い出し訴訟〟を起こすべく、9月福島県議会に議案を提出する予定で、原発事故被害者である避難者が裁判で訴えられる事態に至っている状況下での交渉です。
● 要求項目
(2)福島県は契約自体を拒んで入居している避難者に対して〝追い出し訴訟〟を起こすべく、9月県議会に議案を提出する方針を公表した。政府は、問題解決の為に仲裁にはいること
● 質問項目
(1)避難者の家賃2倍請求や退去強制をおこなうにあたり、避難者の収入など生活実態把握をおこない、転居費や転居後の家賃支払い能力があると判断され、退去を求めているのか、根拠も含め、政府の見解を伺いたい。
(2)この間の原発事故区域外避難者の支援策打ち切りは、福島県が主体的に判断したのか、政府が支援策打ち切りを示唆した事実はないか。政府と福島県の協議経過の資料開示を求めたいが、政府の見解を伺いたい。
(3)避難者の家賃2倍請求や退去強制は、憲法25条の「生存権」を侵害していないか、政府の見解を伺いたい。
(4)避難者の家賃2倍請求や退去強制は、憲法31条の「適正手続の保障」を侵害していないか、政府の見解を伺いたい。(建物の賃貸借契約については,本来、「借地借家法の保護」があり,契約上定められた期間が満了しても,それだけでは,借家人に立ち退いてもらうことはできないとしている。契約を更新しないことについて,「正当事由」のあることが必要とされている。但し、国家公務員住宅は、国有財産法第三条により「借地借家法」の適用から除外されている。福島原発避難者は国家公務員ではなく、国家公務員職員の年間収入と比べて低い。福島原発避難者は自ら選択して国家公務員住宅に避難したのではない。「借地借家法」適用除外含め、憲法31条の「適正手続の保障」を侵害していないか。
(5)国連人権理事会への意見書に関して政府の見解を伺いたい。
私たち三団体は、国連人権理事会に対し、日本政府に対し政策の是正勧告を行うよう求める意見書を送付しました。意見書は9月上旬にも国連人権理事会の公式サイトに掲載される見込みです。日本政府が締約している自由権規約には『移動の自由及び居住選択の自由』が規定されている。社会権規約には、居住を含む相当の生活水準に対する権利』保障の義務が規定されている。
●今日の結果
・今までと同様に、何を聞いても「福島県の意思を尊重して…」「福島県と連携して…」を繰り返すばかりの復興庁、復興庁の意思は一度も語られる事もなかった。福島県から避難者の現況をヒアリングさえしていないのであろう。例えば収入15万円の世帯に15万円の懲罰金が請求されている実例も初めて知ったようだ。避難者の収入実態の把 握を充分おこなう事すらできていない状態下で、二倍の懲罰請求を強行している。復興 庁はただの傍観者のように振る舞うだけの姿勢。
・一方で国土交通省は東京都などに優先入居以上の特別配慮要請を7月におこなっている事がわかった。都営住宅に申し込みを続け、6~7回連続して落選し、二倍請求で追い込まれている避難者もいる。国土交通省からは、特別配慮要請は、公営住宅の入居対象外の60歳未満の単身世帯も含まれるという。東京都への働きかけを強めていきたい。
・私たち三団体は、1週間以内に以下の回答を求めています。
①
二倍請求をおこなった63世帯の避難者の収入など生活実態の把握をおこなうこと。避難者の実態把握を踏まえ、二倍請求をおこなっても経済的にも問題がないと判断したのか。
②
国家公務員住宅から退去させ、転居させても経済的に困窮に陥る事がないのかなど調査すること
・最後に、避難者の現状調査がされていない状況下での家賃2倍相当の損害金請求を直ちに中止することを強く求めました。
(避難の協同センター」報告より転載)
■家賃2倍請求やめよ!〜自主避難者の住宅問題で市民ら要求
■【原発避難者から住まいを奪うな】「家賃2倍請求やめて」避難者・支援者が国に要求するも〝ゼロ回答〟。官僚は「福島県が決めた事」「福島県の意思」繰り返す~平行線の政府交渉