福島県立医科大学が、甲状腺がんで摘出施術を受けていた4歳児について、県民健康調査検討委員会に報告していなかった件について、5月9日、県民健康調査課に要請書を提出しました。
要請書では、実施主体である県として、県立医大に二次検査で経過観察中であっても検討委員会に報告、公表するよう、また県立医大以外での医療機関による甲状腺がんの診断であっても、把握する仕組みを確立するよう求めています。
当日は「子ども脱被ばく裁判の会」も、経過観察後甲状腺がんが判明した子どもの人数の公表とルールの変更、また、福島第一原発事故後に生まれた子どもも検査対象とし充実した疫学調査を求める要請をしました。
県民健康調査課には事前に、提出時の話し合いと会議室の用意を要望しましたが、聞き入れられず、他の人達が往来する県庁西庁舎2階の喫茶コーナーに、福島秀行、洞口一之主任主査がやって来て、そこで要請書を読み上げて手渡し、30分ほど話し合いをしました。
ひだんれんからは神奈川、東京から駆け付けた3人の避難者も含め6人、子ども脱被ばく裁判の会からは、共同代表2人の他支援者3人が参加して総勢11人となりました。
要請に対して県の担当者の返答は、「意見を伺い、業務の中で生かしていく。具体的な対策については答えられない」というものでしたが、当時4歳だった子どもや親からの相談があれば、県の医療面でのサポート事業に該当するので対応したい、という回答がありました。武藤類子共同代表からこのような事例がまだあるかもしれないので、県立医大と連絡を取りあい調査してほしい旨、要請しました。
話し合いの中で、県知事にもこの要請書を渡してほしい、県民健康調査や甲状腺がん検査の意見交換の場を設けてほしいという意見にも、担当者は即答せず検討するとし、検討委員会にも要請書を渡してほしいという意見には、口頭で報告するとの回答でした。5月か6月にあるはずの県民健康調査検討委員会に、今回の要請の報告があるかどうか注目です。
県の担当者の言質を取られないような話しぶりの中で、唯一、サポート事業について言及した時の福島主任主査の「甲状腺がんの子どもさんや家族が一番大変な思いをしているわけですから」という言葉に、県民の健康被害を憂慮する行政職員の思いが垣間見えた気がして、そのような思いと態度で、常に県民の健康問題にあたってほしいと思いました。